ルネサンス脳

ルネサンスを迎えるイタリアでは、中世のテデスコ(ドイツ)の建築様式、つまりゴシック様式に対する嫌悪感が高まっていた。古代ローマ時代の遺構は到るところにあり、その建築様式が理想的を見なされ、その復活が目論まれる。しかし、それは単なる復古現象…

ゴシック様式・・・ つづき

様式は数百年継続した。この継続性がテーマ。庇護感は長続きしないだろう。基盤的な庇護感は持続するだろうが、次第に薄れる。より強い庇護感を得るにはより新しい要素を持って、人の感覚を刺激しなければならない。新しい刺激をもたらした新しい工夫も記憶…

ゴシック大聖堂と脳

ゴシックの大聖堂は脳科学的に解釈できるのか。なかなか答えが見つからない。中世においては個人は埋没していた。ルネサンスとともに人の個人的な能力が直接に評価されるようになるが、中世には芸術家の名前もおぼろげでなる。そこでは個人よりも共同体社会…

ミケランジェロの造形脳

ゼキによるとミケランジェロの彫刻、絵画に未完成が多いのは、作為的だったという。未完成の部分に対して鑑賞者が多様な読み方をできるのが、彼の意図なのだそうだ。やや穿ち過ぎのような気がするが、覚えておきたい。私には、ただ、あまりに目標が高いため…

フェルメールの空間表現

フェルメールの絵画で特徴的なことは、絵画の主人公が横向きであり、鑑賞者に整体してくれないところだ。『窓辺で手紙を読む女』や『真珠の首飾りの少女』は、窓から差し込む光に向かって佇む女性という典型的なパターンを見せる。視線をこちら向きにする『…

ファサードの対称性

カンデルの脳科学的解釈によると、人の顔は対称であるほど、見る者に快感を与えるのだそうだ。ココシュカの絵画を画像操作をしながら説明される。対称な顔は生物としての健康さを示し、非対称は何らかの不具合が原因で起こっているとされる。ちなみに眼球か…

建築の始まりはどこか

そもそも人の体表面に毛がなくなった時から、人は身を守るために衣服を必要とし、また住居を必要とし始めた。それには頭脳の発達が欠かせなかったわけだが、なぜ脳が発達したのかはいまだに謎らしい。毛がなくなった理由も同様。 南アフリカ海岸線にある洞窟…

脳内でのトップダウンとボトムアップ

眼球のレンズを通って入った光が網膜に像を写し、視神経細胞がデジタル化して電気信号となし、後頭葉の視覚野でデータに分解される。それを再統合しなければ見た対象が何だったのか認識されない。前頭葉は記憶をもとにしてそのデータを解釈する。それが記憶…

脳内のイデアとしての様式:ギリシャ神殿

ギリシャ神殿は木造建築をモデルとして、石で彫刻作品にしたものである。その際に木造の構造は力学的に石造でそっくりにはできないから、ある操作が加えられる。アルカイック期の神殿は太すぎる円柱を持つが、一本の柱は数個の石を積んだものである。重い石…

近世建築と脳

近世の建築史は宮殿が中心となる。建築史の舞台は古代の神殿、中世の教会堂と続き、いずれも宗教建築の範疇にあるが、近世はその枠を超える。とはいっても、宮殿もまた宗教的世界観からの延長上に、新しい世界観の精神表現だったと見ておかなければならない、…

脳科学的な宗教建築史に向けて

建築史を脳科学から解き明かせないか。少し、書籍を物色してきたが、なかなかこれというものに突き当たらない。予備的な考察をしておこう。 古代に神殿が発生したのは、どのようにしてか。 神殿には神像が収容される。屋根がかかった神殿では内部が暗く、ま…

ウィーン脳vsベルリン脳

1871年にプロイセンがフランスとの戦争に勝利すると、ドイツ帝国が創立され、すぐに泡沫会社期と言われるバブルが起こる。バブルは弾け、経済の停滞を招く。しかし、統一される前のドイツの諸国からあらゆるエネルギーが新帝都ベルリンに集中し始める。若い…

カンデルの世紀転換期ウィーン論

エリック・カンデルはノーベル医学・生理学賞受賞者。『カンデル神経科学』を覗いてみたが、神経学百科全書のような体裁で、専門的な論文集のようでもある。堅物の学者さんかと思いきや、『芸術・無意識・脳』は一転して美術史の書。脳科学者が分析する美術…

セミール・ゼキの脳科学的芸術論から

『脳は美をいかに感じるか』に見るモダニズム・アートについてのセミール・ゼキの説は刺激的である。モダニズムの抽象芸術化の傾向の中で、まるで芸術家は科学者になったかのように見えるという。それもあいまいな感想ではなくて、後頭葉の視覚野で起こって…

様式は進化する

ミケランジェロはなぜ、盛期ルネサンス、マニエリスム、初期バロックと変遷できたのか。一定のスタイルに留まるだけでもよかったはずなのに。 そもそも様式はなぜ変遷しなければならないのか。ヴィンケルマンはミケランジェロのバロック・スタイルを批判する…

ペーター・ベーレンスの新古典主義を脳科学から見直す

脳科学によると、脳のある場所で「輪郭」を認識しているようだ。 ヴィンケルマンの言う「輪郭」が思い出される。輪郭はデッサンで重要なものである。ヴィンケルマンはギリシャ彫刻にそれを見た。白い大理石の彫刻はモノトーンの世界である。輪郭はモノトーン…

神の進化過程

脳科学の読書からひらめくことが多々ある。 脳は進化してきた。爬虫類、哺乳類、人間へと。脳幹から大脳辺縁系へ、そして大脳皮質へ。それはコンピューターの発達過程にも似ているという。モデュールから相互作用へ、PCネットワークからWWWへ。そのような進…

ピークシフトの様式論

ラマチャンドランの『脳のなかの天使』は示唆するものが多い。彼は人の心理、脳の働きとして「ピークシフト」という言葉を提示する。正方形と縦に長い長方形を比べると、正方形は安定、長方形は不安定。しかし長方形を好み始めると、縦にどんどん高くなって…