ミニマリズムの隔離病院を

シンガポールで見本市会場を感染者収容施設化した光景は印象的だ。展示ブースのようなもので病室がつくられ、ベッドが置かれている。整然と並ぶ病室群はミニマリズム・デザインのように見える。通路にはロボットがしずしずと動き、物品の輸送をしている。中…

対ウィルスの都市計画を考え始めよう

北京を含め中国各地で、インドで、北イタリアで、その他世界の中枢都市で、大気汚染が突然消えたそうだ。原因は都市封鎖。この調子ではCO2が減り、地球温暖化にブレーキがかかるかもしれない。グレタ・トゥーンベリが突きつけた要求が、Covid-19の大軍勢によ…

ポスト・コロナの建築様式

30年も前から唱え始めた120年周期説、さらに一歩前進できる。今を知るには120年前、つまり1900年前後が参照されるべきだ。その頃、アール・ヌーヴォーから新古典主義への転換がある。P.ベーレンスがそれをなしたのだが、それは歴史が生理現象のように、複雑…

ヴェネチアのウィルス・ショック

ヴェネチアのカーニヴァルが終盤になって中止にしたことは象徴的だ。都市文化を蓄積し、都市の上に都市を重ねてきたことでは一流のヴェネチアが、自ら引き籠もった。都市の華やかさの上に華やかさを積み重ね、爛熟させ、発酵させてきた、その都市が人気のな…

ウィルス時代の都市社会システムへ

人新世はホモ・サピエンスがつくる時代。都市はヒトが生産効率を上げるために生み出された社会形態。ジェリコから始まって、メソポタミア都市、エジプト都市、エーゲ海都市、ギリシャ・ローマ都市、キリスト教都市、ルネサンス・バロック都市、近代都市、そ…

建築のリアリズム美術について

クールベのリアリズムは、どのような脳内現象なのか?新古典主義の英雄的な理想主義を否定し、他方でロマン主義の深い個人的心情告白も否定する。いずれも何か嘘くさい。そう思ったとき、目の前の現実世界が目を落ち着かせる。実存主義的。クールベはそのま…

ルネサンスのクオリア論

比例論はウィトルウィウスに遡るわけだが、ルネサンスにはとりわけ比例感覚が重要となった。とりわけファサードの分節は比例美のもとでなされていた。さてその感覚はどこに基盤を持っていたのか。 比例美の感覚は芸術家・建築家の脳に宿った。より正確に言え…

宗教のパラダイム転換過程

古代神話型の宗教と中世キリスト教型のそれの土台の違いはどう表現したらよいか、悩んでいたが、少しヒントあり。宇宙型と救済型。まだわかりにくいが、ヒントにはなる。古代人はともかくも宇宙を理解する言葉を必要とした。中世人は地上の人が死後、幸福で…

合理的造形の背景にある情動

ダマシオは情動→感情→理性という順番を想定している。『意識と自己』の始めの方で。情動が非理性的なものとして下等に扱われてきたことに批判しつつ。情動があるから理性も働くのだと。 建築学も都市工学も、まさに理系の学問だからか、確かに情動を論じるこ…

前頭前野の自立がすなわち近代か

デカルトは、考える我という地平を抽出し、世界を数学で理解しようとした。古代の神々も中世の一神も関わらない、科学的な世界観が生まれる。近代の始まり。脳内では何が起こったのか。前頭前野は物語を創作して扁桃体の発する恐怖感やさまざまの感情を制し…

ルネサンス脳は側坐核に?

人類の文化的進化論。古代、中世、近世。中世脳の宗教社会がわかってきた。その後に近世脳。ルネサンス。どのように。 小脳扁桃という部位は恐怖感と喜びの二元的な感情に関わるという。先史時代のホモ・サピエンスは自然界で生きていくために、この機能に立…

アーキテクチャーとは神の似姿を形にすることか

脳と建築の関係を思索し続けているが、なかなか答えが出ない。今はホモ・サピエンスの始まりからの、人間の認知的な進化過程を参考にしようとしてきている。 5万年前に黒人としてアフリカからアラビア半島に旅立った150人の人間が人間史に画期をもたらし…

認知建築史学は可能か

コリン・レンフルー『先史時代と心の進化』に、「認知考古学」という言葉を見つけた。ホモ・サピエンスが獲得した認知力を軸にして考古学を説き直そうとするものである。ちょうど、建築史を脳の発達とそれに伴う文化的な進化という発想で構築し直せないもの…

ミケランジェロにもう一度訊こうか

システィナ礼拝堂を見てから、もう40年以上になる。若い時に感覚だけで感動したミケランジェロの天井画、壁画は、知識を積んだ今見ると、違って見えるのではないかと思う。もう一度見る前にNHKの作成した2010年頃の番組を使って予習をした。 天井画はミケ…

バウハウスのミニマリズム

ミニマリズムのデザイン原理はシンプルなので、真似されやすい。まちがった使用には気をつけよう。本来のモダニズムのミニマリズムに対し、ファシズム建築のミニマリズム。神話化の危険。 ヴァルター・グロピウス は本当はデザインがうまくなかったという議…

多文化共生を形態と装飾の二重構造で調整

異文化を受け入れる際には、自前の文化を捨てるわけではなく、また単純に共存させるわけでもない。どうするか。より高い次元に立って、制御することがひとつの解決方法である。高い次元とは、具体的には抽象的な形である。そこに形態と装飾の二分化が起こる…

フリードリヒ二世の多文化共生と普遍建築

12世紀末から13世紀中頃にかけて、神聖ローマ皇帝として時代を牽引したフリードリヒ二世の人生はあまりに面白い。中世をルネサンスへ導いたとも言われる。波乱万丈の人生という意味だけでなく、多文化共生というものを考える上でも。 南イタリアに生まれ、シ…

中世都市の有機的であること

有機的という言葉は幅広く使われてきた。生き物のアナロジーが基本だが、ここでは生物進化に関わるところに絞って考える。 ドイツ中世都市は12〜13世紀に、領主ないしは司教が新設した新都市に始まるというのが定番。当初は計画都市だった。もっとも中世…

三次市民ホールは洪水に事前対応してデザインされていた

2018年7月豪雨災害。広島県ではあちこちで土砂崩れが起こり、犠牲者も多数。岡山県では真備での洪水災害がメディアで大きく取り上げられた。相対的に目立たなかったが広島県内でも、中国山地の三次市の盆地で洪水となった。三次市民ホール「きりり」も水に浸…

アール・ヌーヴォーとイスラム建築

セセッション建築は二次元的である。ワグナーの壁面は平坦で、壁面はグラフィックス・デザインの壁紙のようになる。古典主義建築の伝統上ではこれは普通ではないように見える。円柱が林立するファサードは古代の神殿を理想とする、立体感のある彫刻的な発想…

アラブ・ノルマン様式

さまざまの経緯があって、マイケル・ハミルトン・モーガン『失われた歴史 ー イスラームの科学・思想・芸術が近代文明をつくった』を読むこととなった。これは結構なカルチャーショック。 ヨーロッパがルネサンスを開始するのは古代ギリシャ・ローマの文献を…

いつ神が、そして神殿が?

NHKスペシャル『人類誕生』第2回。ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが接触し、遺伝子が継承されているという。世界のヒトの遺伝子には、ネアンデルタール人の遺伝子が2%強ほど入っていて、東アジア人にはやや多め。もちろん日本人の場合も、同程度。…

壁の情報建築論

フェイク合戦を情報建築論として見てみよう。 各種メディアはトランプのフェイク情報を非難する。トランプは各種メディアの発する不利な情報をすべてフェイク・ニュースだとして退ける。まるで城壁を挟んで矢が飛び交っているかのように見える。そう、ここに…

21世紀の神と神殿

いったいいつから人間は神を意識し始めたのか。そしていつから神が消えたのか。 生命体に脳が発生した時から、神のようなものが意識され始めたのではないか。生物は生存欲求がプログラム化されているが、環境にはそれを阻害する要素が満載されている。ガイア…

人間−環境系の脳化

弱者こそ進化できる。とりわけ、脳の進化が起こる。 男性社会では弱者である女性の方が脳の進化が起こっているのか。ただ、ずる賢くなっていくのであれば不幸なこと。より理性的な思考方法ができるように前頭前野が発達するのであれば、人類の文明は進む。北…

人類誕生と人工物

NHKスペシャル『人類誕生』がちょうど都市・建築進化論に刺激を与えてくれる。進化とは何なのか。 人類が猿からさらに発達するのは、脳の発達こそキーターム。しかしそればかりではない。 二足歩行が始まったこと。それは脳を高く保つこと。血の巡りが悪くな…

クオリア論からピクチュアレスクへ

茂木健一郎は、山寺の五大堂から眺めた風景を前にして、並列する様々の「クオリア」の存在に気がつき、そのようなアウェアネスにあり方を「メタ認知」したのだと言う。そのことがいわばキーワードとなり、著書『脳内現象』が書かれているが、この書はまるで…

脳に思考停止を促す様式

神経経済学というジャンルができているとのいう。株式投資などに際して意思決定する際に、専門家の言うことに無防備に信頼してしまう現象について、それは一方の報酬予測や情動的な認知・決断に関わる大脳辺縁系の前帯状皮質と、他方の理性的で抽象的な思考…

メッセージ物質で様式論

今回(2017-18年)のNHK人体シリーズは、臓器よりもホルモン、つまりメッセージ物質を焦点化。これに刺激されて・・・。メッセージ物質は解明途上。現代の情報論の時代は、人体内での情報システムの存在に光を当て始めた。脳からの指令だけでない、臓器相互…

形ある作品より生成作業に真実が見える

なぜ様式は変遷するのか。優れた様式が完成すれば、それを使い続ければよいではないか。せっかくの盛期ルネサンスの高みもあっというもないマニエリスムに喰まれて落ちていく。無駄な道行きなのか。 人間は完璧な解答にも満足しない、矛盾に満ちた生命体。揺…