2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

クオリア論からピクチュアレスクへ

茂木健一郎は、山寺の五大堂から眺めた風景を前にして、並列する様々の「クオリア」の存在に気がつき、そのようなアウェアネスにあり方を「メタ認知」したのだと言う。そのことがいわばキーワードとなり、著書『脳内現象』が書かれているが、この書はまるで…

脳に思考停止を促す様式

神経経済学というジャンルができているとのいう。株式投資などに際して意思決定する際に、専門家の言うことに無防備に信頼してしまう現象について、それは一方の報酬予測や情動的な認知・決断に関わる大脳辺縁系の前帯状皮質と、他方の理性的で抽象的な思考…

メッセージ物質で様式論

今回(2017-18年)のNHK人体シリーズは、臓器よりもホルモン、つまりメッセージ物質を焦点化。これに刺激されて・・・。メッセージ物質は解明途上。現代の情報論の時代は、人体内での情報システムの存在に光を当て始めた。脳からの指令だけでない、臓器相互…

形ある作品より生成作業に真実が見える

なぜ様式は変遷するのか。優れた様式が完成すれば、それを使い続ければよいではないか。せっかくの盛期ルネサンスの高みもあっというもないマニエリスムに喰まれて落ちていく。無駄な道行きなのか。 人間は完璧な解答にも満足しない、矛盾に満ちた生命体。揺…

ドーパミン論からデザインを考え直す

デザインを悪者扱いする言葉がよく見かけられる。曰く、経費の無駄遣い、遊び、目くらまし、実用性を阻害するもの、etc. 確かにそのような「デザイナー」も多いので、非難を受けるのも道理かもしれない。 JABEEという工学教育の学科の資格審査のようなもので…

転換期の仮舞台としての新古典主義

改めてル・コルビュジエを見てみると、彼が20世紀初頭の新古典主義から影響を受けていたことが確認できる。ラ・ショー-ド-フォンの「メゾン・ブランシュ」、「ファーブル-ジャコ邸」はベーレンス的な手法が見える。より詳細にはシンケル的ベーレンス。重厚…

音楽の脳科学から

シュテファン・ケルシュ著『音楽と脳科学ー音楽の脳内過程の理解をめざして』というタイトルに惹かれて、ざっと読んでみた。もっとも、現代は"Brain & Music"とシンプルだ。マックス・プランク研究所で音楽心理学の研究を経てきていて、柔な脳科学書ではない…

フラハティによる創造性談義から

創造性というものが脳内のどこに発しているのか。脳科学もまだ解明できていないようだ。アリス・W・フラハティの『書きたがる脳ー言語と創造性の科学』というタイトルに惹かれ、読んでみた。何だか、小説を読んでいるような面白さがあった。自らの出産に伴う…